当サイトは「思念体、タルパ、イマジナリーフレンド、解離」などを中心に、心理学、オカルト等から精神世界について探求するものです。
⇒このサイトについて/思念体紹介

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ブログランキング・にほんブログ村へ 

「内在性解離」を扱う書籍「人格解離」を読んでみた

久々のブログです。今回は解離の話題。
最近界隈に流れる「内在性解離」という言葉について調べてみました。


内在性解離とは、精神科医の小栗氏が独自に提唱した概念のようです。
書籍の内容は大まかに以下のような内容でした。

・解離には連続性があり、記憶が完全に離れ顕在する多重人格の他に、
 つながっているが不完全、または離れているが潜在意識に上がってこない内在性解離が存在する
・その場にふさわしくない感情の表出、脳内会議、自問自答は内在性解離によるもの
・多重人格、内在性解離は統合すべきものだ
・タッピングによる治療法「USPT(※独自用語)」で統合治療を行うことが出来た
・本人の人格の他に、霊などが取り付いている場合があり、タッピングで表出することがある。この場合は統合は出来ない

結論から言うと、著者が新概念または新治療法として提唱するものは、
(霊に関する記述を除き)全て既存の概念でした。
なので、解離を学ぶ書籍としては勧めたいものではないのですが、
著者の挙げる症例から、最新の解離治療や、幾つかの興味深い事例が見えてきました。

■「内在性解離」とは何だったのか?
著者は内在性解離と同一の概念として、「自我状態(ego state)」を挙げています。
同一のものとしながら新語を提唱することは疑問ではあるのですが、
著者は全ての人格を統合すべきだと主張するのに対し、
自我状態療法では、全てのパーツを統合する必要はないという立ち位置です。

では「自我状態」とは一体何でしょうか?
人間は、異なる環境に適応する時、成長過程で他人を取り入れる時、トラウマに直面した時、新たな「人格のパーツ」を作り上げます。
これは必ずしも多重人格といったものではなく、どちらかというとユング心理学で「元型」と表されるものに近いもののようです。
例えば家族に対してと、他人に対しての接し方が異なるように、
人は無意識のうちにその「人格のパーツ」を切り替えたり、あるいは組み合わせて使用しています。
そうして経験を積んだ「人格のパーツ」は、枝分かれ、分岐しながら、それぞれのパーツが独自の発達を遂げていきます。

無論これらは一般人にも現れるものですが、これらの「人格のパーツ」同士に矛盾や衝突が起こった場合、
あるいは自我状態同士のコミュニケーション不全が起こった場合、「問題」として表出します。
これが「解離」や、その他の原因不明の身体症状です。
DSMに当てはめるのならば、離人症や混在性解離等を含む広い解離のことを指すでしょう。

「人格のパーツ」同士の内なる葛藤が強すぎる時、「自我状態療法」を行うことが提唱されています。
「EMDR(眼球運動による脱感作および再処理法)」などを用いて、
人格のパーツ同士の統合や仲立ち、空想による書き換えを行い、
パーツ同士の関係性が健全になるよう促します。

■EMDRによる治療
小栗氏の提唱する「USPT」は、著書でも触れているとおり、
EMDRの技法の一部タッピングに「前世催眠療法」などを組み合わせたものです。
このEMDRは、先程挙げた「自我状態」に問題が発生した際に「自我状態療法」の一部として用いられるものです。
つまり小栗氏の挙げる概念は、解離性同一性障害の治療に一般的な催眠療法に、自我状態療法を組み合わせた、ありふれたものでした。

EMDRの原理はよくわかっていませんが、
解離を含むトラウマに効果があることが認められており、
災害時の簡易版EMDR(バタフライハグ)等も用いられ始めています。

眼球を左右に動かしたり、左右交互にタッピングすることで
一説では左右交互のタッピングで右脳、左脳を同期させ、
また眼球運動によってレム睡眠同様の変性意識を再現することで、脳の「再処理」を促すとされています。
この左右交互という点については、「ヘミシンク」などバイノーラル音声による変性意識誘導にも似ているかもしれません。

さて、小栗氏の著書の中にこんな記述がありました。

・解離度の低い患者は治療中はリアルにイメージできていたのに、治療後はよくわからなかったと反応がある
・前向きな気持がなければ、統合した人格もすぐまた解離してしまう
・完全な統合が成功した場合、一様に「すっきりした」との反応がある
・除霊が成功したある患者は、そのまま病的な躁状態になり、入院が必要になってしまった

これはあくまで推測になりますが、催眠治療によくある、施術後の高揚感によく似ています。
EMDRによる変性意識への誘導と、催眠による変性意識への誘導が同様の意識状態なのか、私にはまだ知見がありませんが、
催眠治療後はしばしば、被験者はこういった高揚感を主張するものです。
そしてその高揚感は、時間が立つにつれて大抵は徐々にもとに戻っていきます。
そのため催眠を用いた精神治療では、しばしば自己催眠を併用し、ポジティブな精神状態を習慣づけ、それが安定するまで体に覚え込ませます。

小栗氏の提唱するUSPTには、この自己催眠にあたる部分が無いようです。
EMDRは時に催眠療法より劇的な効果を発揮することがありますが、
催眠療法同様に、「暗示による見せかけの統合」と「一時的な高揚感」には気をつけるべきだと思います。


(参考)
人格解離
EMDRによる解離性障害・複雑性PTSDの治療
自我状態療法―多重人格のための精神療法(PDF)
Ego State Therapy Japan (EST-J)
バタフライハグ:トラウマ・心の傷を消すメンタル医学【吉田たかよし】


------
(2/28 13時追記)
ふと、ego state=自我状態は「自我国家(自我群)」といった意味合いの誤訳ではないかと気づきました。
ego state自体には、内在するパーツという意味合いしか無く、病的な解離と言った意味は含まれていません。
小栗氏は誤訳された「状態」という言葉を悪い意味に誤認したのではないかと思います。
関連記事

ブログランキング・にほんブログ村へ 

- 0 Comments

Post a comment

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。